湯せんの有無で変わる食感
ニューヨークチーズケーキの食感を生み出すお湯の役割
ご家庭でニューヨークチーズケーキを作ったとき、「湯せんだけでこんなに食感が変わるんだ!」と驚いたことはありませんか?
この研究ノートでは、その理由を科学的に掘り下げます。
湯せんで庫内が蒸気で満たされる
湯せんをすると、オーブンの中は立ち上る蒸気でいっぱいになります。
焼き上がりを確認するため扉を開けたとき、もわっと湿った空気を感じるのはそのため。
この高い湿度(=水蒸気分圧が高い状態)が、チーズケーキの表面を乾燥から守ります。
蒸気が「見えない蓋」になる
ポイントは、全体の圧力が上がることではなく、周囲の水蒸気分圧が上がること。
周囲が湿った空気で満たされると、表面から水分が外へ逃げにくくなります。
蒸気が“見えない蓋”となって水分の蒸発を抑え、内部の水分が保たれることで、ニューヨークチーズケーキ特有のしっとり・なめらかな食感につながります。
もう一つの効き目:「熱の緩衝」
湯せんによって発生した蒸気は熱の緩衝材としても働きます。型の外側温度が急上昇しにくく、全体がゆっくり均一に凝固するため、「スが入る」「ひび割れる」といった失敗も起こりにくくなります。
まとめ
湯せんすると、
- オーブン内が高湿度になり、水分の蒸発が抑えられる(“見えない蓋”効果
- 水が熱をゆるやかに伝え、均一に凝固する(熱の緩衝)
この二つの効果が合わさって、しっとり、なめらかな口当たりが生まれます。
小さなお菓子の研究所 DÉLICURIO Lab