テリーヌチーズケーキに現れる透明な水滴の正体
翌日に表面に現れた水滴
テリーヌチーズケーキを焼いて冷蔵で一晩寝かせると、表面に透明な水分がにじんできました。
「失敗かな?」と不安になりましたが、調べると実はs浸透圧によるごく自然な現象でした。
糖と水分の関係
生地に含まれる糖は強い吸湿性を持ち、水分を引き寄せやすい性質があります。
焼成直後は生地全体に均一に分布していますが、時間の経過とともに浸透圧の働きで水分が移動し、表面に集まって小さなしずくとして現れます。
この仕組みはプリンなどのカスタード菓子でも同じで、特に糖や水分を多く含むレシピほど起こりやすいのです。
蒸気で保湿しながらの低温焼成ならではの現象
ベイクドやニューヨークのように高温で表面をしっかり焼き固めるレシピでは、乾燥層ができるため“しずく”はほとんど見られません。
一方、蒸気で保湿しながら低温でじっくり火を入れるテリーヌチーズケーキでは、表面が乾かず水分が移動しやすいため、翌日にしずくが浮かびやすくなります。
品質劣化ではなく、なめらかな食感のサイン
この“しずく”は劣化のサインではなく、素材の性質によるものです。
糖と水分が移動して表面に表れただけで、食味や品質に大きな影響はありません。
むしろ一般的なチーズケーキよりも水分を多く含んでいる証拠であり、なめらかな口溶けにつながっています。
当店での工夫
当店では焼成後に急速冷蔵で急冷し冷蔵庫で一晩熟成させ、その後に表面の水分を一台ずつ丁寧に拭き取ってから急速冷凍しています。
この工程により、解凍時に水分が浮き出ることなく、安心してお召し上がりいただけます。
まとめ
翌日に浮かぶ“しずく”は、蒸気で保湿しながらの低温焼成という特殊な製法だからこそ起こる自然現象です。
決して失敗や劣化ではなく、糖と水分の性質によるもの。
そしてそれは、一般的なチーズケーキよりも水分を多く含むリッチな配合であることの裏付けでもあります。
当店では、この現象を理解した上で丁寧な処理を施し、最良の状態でお届けしています。
小さなお菓子の研究所 DÉLICURIO Lab