お菓子屋さんが使うオーブンの種類と特徴
お菓子屋さんが使う業務用オーブン
ケーキ屋さんの厨房には欠かせない業務用オーブン。
ひと口にオーブンといっても大きく3種類に分けられます。
- デッキオーブン
- コンベクションオーブン
- スチームコンベクションオーブン
この研究ノートでは、それぞれの仕組みと得意なお菓子を紹介します。
最も使われるデッキオーブン
お菓子屋さんのオーブンといえば、2段や3段に分かれた箱型のオーブンを思い浮かべる方も多いと思います。
これが「デッキオーブン」と呼ばれるタイプです。
上下にヒーターが設置されており、伝熱と放射熱でじっくり火を通すのが特徴。
無風なので乾燥しにくく、スポンジケーキやパウンドケーキに向いています。
- 家庭用の電子オーブンレンジも基本的にはこのタイプ
- 上下のヒーター温度を個別に調整できる
大型ファンで熱風を回すコンベクションオーブン
「コンベクション(対流)」の名のとおり、ヒーターで温めた空気を大型ファンで循環させながら焼き上げます。
熱風が当たるため表面の乾燥が早く進み、クッキーなどがよりサクッと仕上がります。
- 焼きムラ防止の工夫 → 大型タイプではラックごと回転させる「ラックオーブン」も存在
- 調整できる項目 → 温度と風量
熱源に電気とガスの違いがあり、電気式はムラは少ないですが立ち上がりに時間がかかる、ガス式は立ち上がりが早いですがムラが生じやすいです。
蒸気を活かせるスチームコンベクションオーブン
コンベクションオーブンに「蒸気」を加えられるのが、スチームコンベクションオーブン(通称スチコン)です。
庫内に蒸気を充満させることで、蒸す・焼くを自由に切り替えられます。蒸気の発生方法にインジェクション式とボイラー式(ジェネレーター式)があります。熱源に電気とガスがあります。
- 低温+蒸気 → プリンや茶碗蒸しのように“蒸し”調理
- 高温+蒸気 → チーズケーキやパンのように、乾燥を抑えながらしっとり焼成
- 蒸気を止めれば通常のコンベクションオーブンとしても使用可能
- 調整できる項目 → 温度・風量・蒸気量
近年は多機能性や省スペース性から、デッキオーブンを持たずにスチコンを導入するお店も増えています。
※当店ではプリンを湯せんで焼くのですが、理由は「プリンの科学」を執筆した際に書く予定です。
まとめ
- デッキオーブン → 無風・放射熱でじっくり。スポンジやパウンドに最適。
- コンベクションオーブン → 熱風で素早く乾燥。クッキーや焼き菓子に最適。
- スチームコンベクションオーブン → 蒸気を活かして柔軟に。チーズケーキやプリンに最適。
お菓子作りにおける“オーブン選び”は、レシピと同じくらい食感や仕上がりを左右します。
小さなお菓子の研究所 DÉLICURIO Lab